賃貸住宅の原状回復費用をめぐるトラブル
賃貸住宅の原状回復費用をめぐるトラブル
えっ!? 敷金が返ってこない!
相談
4年間賃貸したアパートを退去した際に、管理会社から「鍵の取替え、クロス張替え、畳表替え、ハウスクリーニング費用として20万円かかるので、敷金は返金しない」と言われた。たしかに冷蔵庫の後部クロスは黒ずんではいるものの、特に汚した覚えはない。退去時もきれいに清掃した。敷金を返して欲しい。—男性・30代—
近時、賃貸借契約の退去時に「原状回復」費用名目で、多額の修理費を請求され敷金が返ってこない、さらに追加金を請求されるなどのトラブルが増えています。
原状回復義務とは?
賃貸住宅では、借主が退去する時建物を元の状態に戻す義務が生じます。でも、建物の価値は時間の経過により減少するもの。通常の使い方をしていれば、使用開始の状態より悪くなったとしてもそのまま返せばよく、修理費用を負担する必要はありません。原状回復とは、借主が借りた当時の状態に戻すものではないのです。(たとえば、新築で入居したからすべて新しくする義務はない)。しかし、使用状態が悪かったために生じたものは、借主が負担する事になり、通常、敷金で精算されます。
退去の時どっちが負担する?
原状回復ガイドラインより ・国土交通省/財団法人不動産適正取引推進機構
貸主が負担
- 通常の使用によるキズや汚れ
- 次の入居者を確保する目的で行う設備の交換や化粧直し等のクリーニング
- 自然災害による破損
例
床
- 畳の表替え(日焼けによる退色)
- フローリングワックスがけ
- 家具設置による床、カーペットのへこみ、跡
壁/天井のクロス
- 日焼けによる退色
- ポスターの跡
- テレビ・冷蔵庫等の設置による後部壁面の黒ずみ
- 画鋲・ピン穴(下地ボード取替えが不必要な程度)
- エアコン設置によるビス穴、跡
その他
- 浴槽・風呂釜の取替え
- ハウスクリーニング
- 鍵交換
- 台所、トイレの消毒
借主が負担
- 故意・過失による汚れやキズ
- 通常の使用でもカビなどが発生した後の手入れの不良
例
床
- 引越し作業でのひっかきキズ
- フローリングの色落ち(不注意で窓を閉めなかったために雨が吹き込んで生じた場合など)
壁/天井のクロス
- 手入不良で付着した台所の油汚れ
- 結露を放置したためにより拡大したシミ・カビ
- 下地ボードの取替が必要なくぎ穴・ネジ穴
その他
- 不適切な手入や誤った用法のために生じた設備の破損
- 飼育ペットによる柱などのキズ
トラブルにならないために
契約時
契約時に、原状回復の負担や敷金の返金について、契約書の内容をよく確認し、わからないときは、納得いくまで説明を受けることが大切です。また、あいまいな点や、借主側に不利な条項があれば、明確に文章にし、契約書面に書き加えたり、訂正してもらうようにしましょう。たとえ特約があっても、借主に一方的に過大な負担は(不当な条項)、消費者契約法により、無効となります。
入居時
貸主に立ち会ってもらい、室内の状況(設備の故障、汚れ、キズ)を記録しておきましょう。写真にとっておくと、退去時に話し合いの証拠となります。
退去時
貸主に立ち会ってもらい、原状回復部分と自然消耗部分の区分の確認をしましょう。退去時に納得いかない負担については、あいまいに返事せずはっきり断わりましょう。
もしトラブルになったら…?
修理費を請求されたらまず明細書を求め、納得できない部分があれば「払えない、敷金を返して欲しい」と申し出ます(内容証明郵便が確実です)。
紛争解決の方法
裁判所の調停
簡易裁判所に調停の申立をし、調停委員の仲介で当事者同士が話し合います。
少額訴訟制度
敷金返還金額が、60万円以下の場合、少額訴訟ができます。原則として1回の裁判で判決がでて、早く、安く、簡単な手続きです。簡易裁判所に専用の書式(定型訴状用紙)がありますので、法律の専門知識がなくても(弁護士に委任しなくても)、個人で充分手続きが可能です。最近では、原状回復ガイドラインや消費者契約法により、少額訴訟によって敷金のほとんどが返還されるケースが増えています。
この記事に関するお問い合わせ先
健康福祉部 市民生活相談課
〒520-2395 滋賀県野洲市小篠原2100番地1 本館1階
電話番号 077-587-6063
ファクス 077-586-2177
更新日:2025年02月28日