昨年11月5日の市議会で、市民病院の基本設計の予算案が1票差で否決されました。反対討論がされない説明なしの否決でしたが、昨年5月の否決に続く二度目の否決であったことなどから、一連の市立病院整備計画が進められない事態となりました。
しかし、その後12月18日に市自治連合会と全市議会議員との話し合いの場が持たれ、全議員が賛否の主な理由などを述べられ、次のことが明らかになりました。
〔市の説明〕病院事業は別建ての企業会計であり、収支も成立する試算となっています。
また、一般会計の財政状況は改善を続けている上、市立病院による負担増は制度上認められるプラス約1.3 億円で済む積算をすでに示しています。(下表)
〔市の説明〕野洲市の場合、大規模商業は基本的に郊外型で、また徒歩10 分圏内には大規模小売店がすでに展開しています。テナントのみの商業施設を単独設置しても集客は困難です。そのため、病院を中心にして駅側に商業・交流施設を整備し、相乗効果により、にぎわいを確保する方針です。(下図)
図 「野洲駅南口周辺整備構想」(2015年3月策定)に基づく機能配置図
〔市の説明〕産科は市内の民間診療所(19 床)によって将来ニーズへの対応ができているため市で整備する必要がなく、2015年2月を以って野洲病院でも分娩を廃止しています。
人数は退席を含む不賛成議員(10 人)の内訳。現議長は回答なし。
こういったことから、市民病院計画こそが野洲市の地域医療を確保するための唯一の方策であるとするこれまでの判断に間違いがないことを確認しました。
そして、市立病院整備を前提とし当面の間は野洲病院への効果的な支援を継続するとともに、基本設計等のための予算を2月議会に再々提案することとします。
市立病院整備計画の経緯、最新情報は下記リンクをご覧ください。
答えA億円の減収が伴うことが確認されています。仮にこの15億円を投入して耐震補強しても、医療機器の継続的な更新のための資金の問題や施設環境は改善されず、病院機能の健全化は図れないと見込んでいます。
また、近年の新築病院の実績として、公立病院の延べ床面積は1床当り平均75平方メートルですが、現野洲病院は55平方メートルです。改築しても広さは変わらないため、今後の移動型医療機器の大型化や患者間のプライバシー向上に対応することは難しいと見込んでいます。
A2:現敷地には余裕がなく隣地も詰まっていることから、解体・整地工事の半年+新築工事の2年程度の間は、病院自体を休診する必要があると見込みます。その間、市民の中核的医療機能は停止したままとなり、損金は人件費だけでも50億円程度(1年あたり20億円×2.5年)が必要となります。また、医師などの医療スタッフの大半は離脱することが考えられ、再開に必要な人材確保は困難を極めます。これを避けるためには、移転、新築しか方法はありません。
A3:郊外型の病院であると、低層化と平面駐車場用地の確保で、通常1万5,000平方メートル程度の一団の市有地の取得が必要と見込まれます。
また野洲市内の診療所の分布は野洲駅周辺に集中していますが、これは外来患者のニーズが郊外では数量的に少ないことを示しています。また郊外では近隣の500床級の高度急性期病院と競合することも想定されます。仮に診療収益と健診等収益が現収支計画より1割減っただけで約2億円程度、収支が悪化すると試算され、経営が成立しなくなります。そのため、事業債や交付税措置といった財源が国で認められなくなり、病院整備自体が不可能になると見込んでいます。