○野洲市くらし支えあい条例
平成28年6月24日
条例第20号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 消費生活の安定及び向上並びに消費者安全の確保
第1節 消費生活センターの設置等(第6条―第8条)
第2節 訪問販売に対する取組(第9条―第17条)
第3節 消費者被害の予防及び解決の促進並びに再発防止を図るための取組(第18条―第22条)
第3章 生活困窮者等への支援等(第23条―第27条)
第4章 雑則(第28条)
付則
市民共通の願いは、健康、安全、幸せです。その実現のためには、市民それぞれが成長しようとする強い思いと行動、それを支える社会の仕組みが必要です。しかし、地震、水害などの自然災害、また、病気、事故、失業、離婚、さらには日常生活での消費に伴うトラブルなど社会経済的要因によって生活が立ち行かなくなる場合があります。問題解決には専門的な支援が必要ですが、いずれの場合にも多様で複雑な要因が絡み合っているため、専門分野だけの対応では断片的な対処に留まり、根本的な解決につながりません。
野洲市では、生活が立ち行かなくなった市民に対して、生活の困りごとを解決するという大きな括りで捉えて支援を進めてきました。問題に個々に対応するのでなく、相互関係を把握し、一体的な解決を目指して、「おせっかい」を合言葉に、市役所に設置した総合相談窓口を核にして、公共サービス、専門家、地域社会の総合力を効果的に発揮させる仕組みを発展させてきました。
このように市民の生活の困りごとを解決し、自立を促し、生活再建に向けた支援を行うことは、市の重要な役割です。その場合、個々人の状況が異なるため、一人を支援することからを基本に、包括的、継続的に支えあう仕組みが機能することが不可欠です。
また、市民の日常生活の基本である消費においては、事業者と消費者との関係が相反するものでは生産的ではありません。近江商人の教えである「売り手よし、買い手よし、世間よし」の三方よしの精神をもとに、商いが自らの利益のみならず、買い手の利益、さらには地域社会の発展や公共の福祉の増進にも貢献する建設的な関係で進められることが、問題発生を予防するとともに、市民の自立と地域社会の健全な発展を促進します。
これまでの取組を、生活困窮予防と市民参加促進機能にも着目して発展させることにより、市民一人ひとりがともに支えあい伸びやかに安心してくらせるまちの実現を目指すことを決意し、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差に鑑み、市民の消費生活の安定及び向上並びに消費者安全の確保を図るため必要な措置を講じるとともに、消費者被害その他の市民のくらしに関わる様々な問題の発生の背景にその者の経済的困窮、地域社会からの孤立その他の生活上の諸課題があることを踏まえ、その解決及び生活再建を図り、もって安全かつ安心で市民が支えあうくらしの実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において使用する用語は、次項に定めるもののほか、消費者安全法(平成21年法律第50号。以下「法」という。)において使用する用語の例による。
(1) 事業者等 事業者及びその団体をいう。
(2) 商品等 商品、役務、権利その他の取引の対象となるものをいう。
(3) 訪問販売 事業者がその営業所等(特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)第2条第1項第1号に規定する「営業所等」をいう。)以外の場所において、契約の申込みを受け、又は契約を締結して行う商品等の販売又は有償による提供(当該事業者の相手方が営業のために又は営業として締結するものその他規則で定めるものを除く。)をいう。
(4) 生活困窮者等 経済的困窮、地域社会からの孤立その他の生活上の諸課題を抱える市民をいう。
(平29条例3・一部改正)
(基本理念)
第3条 この条例の目的を達成するための施策は、次に掲げる事項を基本として行わなければならない。
(1) 消費者基本法(昭和43年法律第78号)第2条第1項に規定する基本理念にのっとり、消費者の権利を尊重するとともに、消費者の自立を支援すること。
(2) 生活困窮者等に対しては、その者の生活上の諸課題の解決及び生活再建に資するよう、総合的に支援すること。
(3) 事業者が自己の利益のみならず、消費者にも利益をもたらすとともに、社会への貢献にも寄与する経営(次条において「三方よし経営」という。)を行うことを促進すること。
(4) 当該施策に関係する市の全ての組織、自治組織(自治会その他の地域住民の組織する団体をいう。以下同じ。)及び関係する行政機関その他の関係者が協力して行うこと。
(三方よし経営の促進)
第4条 市は、三方よし経営を促進するため、次の施策を講じるものとする。
(1) 事業者等に対して、消費者との紛争を防止するための情報及び研修の機会を提供すること。
(2) 事業者等と消費者との間で、商品等に関する知識、営業の改善等について情報を交換する機会を提供すること。
(3) 三方よし経営指針(三方よし経営を推進するために守るべき指針をいう。)を自主的に策定することを事業者等に奨励すること。
(消費者団体への支援)
第5条 市は、消費者団体による消費生活に関する情報の収集及び提供並びに意見の表明、消費者に対する啓発及び教育、消費者の被害の防止及び救済のための活動その他の消費者の消費生活の安定及び向上を図るための健全かつ自主的な活動に対し、必要な情報の提供、助言その他の支援を行うものとする。
第2章 消費生活の安定及び向上並びに消費者安全の確保
第1節 消費生活センターの設置等
(消費生活センターの設置及び運営)
第6条 消費者安全の確保を図るため、法第10条第2項の規定により、消費生活センターを設置する。
2 消費生活センターは、法第8条第2項各号に掲げる事務を行う。
3 法第10条の2第1項の規定に基づき条例で定める事項は、同条第2項に規定する内閣府令で定める基準とする。
(他の消費生活センターとの協力)
第7条 市長は、市の区域内に事務所又は営業所を有する事業者に対する苦情の処理のため他の消費生活センターから協力の要請を受けたときは、当該消費生活センターと協力してあっせんを行うものとする。
(消費者安全確保地域協議会)
第8条 市長は、法第11条の3第1項の規定に基づき、野洲市消費者安全確保地域協議会を組織する。
第2節 訪問販売に対する取組
(登録)
第9条 市の区域内における訪問販売は、市長の登録を受けた事業者(以下「登録事業者」という。)でなければ、行ってはならない。
(登録の申請)
第10条 前条の登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を市長に提出しなければならない。
(1) 商号、名称又は氏名及び法人にあっては、その代表者の氏名
(2) 主たる事務所及び市の区域内にある事務所又は営業所の所在地及び連絡先
(3) 販売し、又は有償により提供している主な商品等
(4) 法人番号(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号)第2条第15項に規定する法人番号をいう。)
(5) 申請者が法人であるときは、その役員の氏名
(6) その他規則で定める事項
2 前項の申請書には、第12条第1項第3号から第6号までのいずれにも該当しないことを誓約する書面その他市長が必要と認める書類を添付しなければならない。
3 第1項第5号及び第6号並びに前項の規定は、十分な社会的信用を有する者として規則で定める者(第15条第1項第2号の規定により前条の登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者を除く。以下「信用事業者」という。)については、適用しない。
(平29条例3・一部改正)
(1) 前条第1項各号に掲げる事項
(2) 登録年月日及び登録番号
2 市長は、前項の規定による登録をしたときは、その旨を申請者に通知しなければならない。
(平29条例3・一部改正)
(1) 第15条第1項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者
(3) 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第6号に規定する暴力団員又は当該暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(以下「暴力団員等」という。)
(4) 法人であって、その役員のうちに前号に該当する者があるもの
(5) 暴力団員等がその事業活動を支配する者
(6) 暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用するおそれのある者
2 市長は、前項の規定により登録を拒否しようとするときは、あらかじめ申請者にその旨を通知し、弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。
3 市長は、第1項の規定により登録を拒否したときは、遅滞なく、その理由を示して、その旨を申請者に通知しなければならない。
(平29条例3・一部改正)
(登録の更新)
第13条 第9条の登録は、3年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。
4 前項の場合において、登録の更新がされたときは、その登録の有効期間は、従前の登録の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。
5 市長は、第1項の規定により登録の効力を失ったときは、登録簿の登録を消除するとともに、その旨を公表しなければならない。
(変更の登録等)
第14条 登録事業者は、第10条第1項第1号から第3号まで又は第5号のいずれか(信用事業者にあっては、第1号から第3号までのいずれか)に掲げる事項について変更があったときは、遅滞なく、その変更に係る事項を記載した変更登録の申請書を市長に提出しなければならない。ただし、規則で定める軽微な変更については、この限りでない。
2 登録事業者は、前項ただし書の軽微な変更をしたときは、その日から30日以内に、その旨を市長に届け出なければならない。
3 市長は、前項の規定による届出があったときは、当該届出の内容を登録簿に記載しなければならない。
(平29条例3・一部改正)
(2) 第12条第1項第3号から第6号までのいずれかに該当することとなったとき。
(4) 第17条第2項の規定に違反したとき。
(1) 死亡した場合 その相続人
(2) 法人が合併により消滅した場合 その法人を代表する役員であった者
(3) 法人が破産手続開始の決定により解散した場合 その破産管財人
(4) 法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合 その清算人
(5) 第9条の登録に係る事業を廃止した場合(市の区域内においてのみ当該事業を廃止した場合を含む。) 登録事業者であった個人又は登録事業者であった法人を代表する役員
2 登録事業者が前項各号のいずれかに該当するに至ったときは、登録事業者の登録は、その効力を失う。
(平29条例3・一部改正)
(訪問販売の制限等)
第17条 登録事業者は、訪問販売を行おうとするときは、その相手方に対し、勧誘を受ける意思があることを確認しなければならない。
2 登録事業者は、訪問販売に係る契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、当該契約の締結について勧誘をしてはならない。
5 市長は、登録事業者に対し、消費者との紛争を防止するために必要な情報を提供するものとする。
第3節 消費者被害の予防及び解決の促進並びに再発防止を図るための取組
(事業者等との協定)
第18条 市長は、消費者安全の確保を推進するため、事業者等との間で、商品等の品質及び表示、営業の方法等に関し事業者等が守るべき事項及び市が事業者等に助言その他の援助を行うべき事項を定めた協定の締結に努めるものとする。
2 市長は、前項の協定を締結したときは、その旨を公表するものとする。
3 市長は、第1項の協定を変更し、又は廃止したときは、その旨を公表するものとする。
(説明の求め等)
第19条 市長は、消費者からの苦情の処理のために必要があると認めるときは、事業者等その他の関係者に対し、消費生活センターへの来庁及び説明又は商品等の品質及び表示、営業の方法等に関する資料の提出を求めることができる。
(商品テスト)
第20条 市長は、消費者から商品に関する苦情の申出がある場合において必要があると認めるときは、独立行政法人国民生活センターその他規則で定める者に対し、商品テスト(商品の試験、検査等をいう。次項において同じ。)の実施を要請し、その結果の報告を求めるものとする。
2 市長は、商品テストを実施した者の同意があるときは、消費者及び事業者の意見を聴取した後、当該意見及び前項の結果を公表することができる。
(事業者等への要請)
第21条 市長は、消費者被害の発生又は拡大の防止を図るため必要があると認めるときは、事業者等に対して、商品等の品質及び表示、営業の方法等について改善の要請を行うものとする。
3 市長は、第1項の要請を行ったときは、当該要請の内容を公表することができる。
(処分等の求め)
第22条 市長は、法その他の関係法律の規定に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)がされていないと思料するときは、行政手続法(平成5年法律第88号)第36条の3第1項の規定に基づき、当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めるものとする。
2 市長は、行政手続法第36条の3第3項の規定による当該行政庁又は行政機関の調査の結果及び当該処分又は行政指導をした旨の通知があったときは、その通知の内容を公表するものとする。
3 市長は、前項の通知の内容に関し疑義があると思料するときは、当該行政庁又は行政機関に対し、質問をし、これに対する回答の内容(当該回答がなかったときは、その旨)を公表するものとする。
4 市長は、第2項の通知がなかったときは、当該行政庁又は行政機関に対し、当該通知を行わなかった理由の説明を求め、これに対する回答の内容(当該回答がなかったときは、その旨)を公表するものとする。
5 前項の規定は、当該行政庁又は行政機関の調査が行われなかった場合及び当該処分又は行政指導が行われなかった場合について準用する。
6 前各項の規定は、法第28条第1項の規定その他規則で定める法律の規定又は行政手続法第36条の3第1項の規定に相当する滋賀県その他の地方公共団体の条例の規定に基づき、市長が求める場合について準用する。
7 市長は、本市の区域内における消費者被害の発生又は拡大の防止を図るため必要があると認めるときは、滋賀県知事に対し、法第44条第1項の規定による要請を行うよう求め、滋賀県知事が同条第4項の規定による通知を受けたときは直ちにその通知の内容を市長に報告するよう求めるものとする。
8 市長は、前項の規定による報告があったときは、その報告の内容を公表するものとする。
第3章 生活困窮者等への支援等
(生活困窮者等の発見)
第23条 市は、その組織及び機能の全てを挙げて、生活困窮者等の発見に努めるものとする。
(支援の方法)
第24条 市は、生活困窮者等を発見したときは、その者の生活上の諸課題の解決及び生活再建を図るため、その者又は他の者からの相談に応じ、これらの者に対し、必要な情報の提供、助言その他の支援を行うものとする。
2 市は、生活困窮者等のために法第8条第2項各号に掲げる事務を行うに当たって必要があると認めるときは、生活上の諸課題の解決も図るものとする。
3 市長は、生活困窮者等に公租公課の滞納があったときは、迅速かつ的確に野洲市債権管理条例(平成26年野洲市条例第25号)による措置を講じ、その者の生活の安心の確保に努めるものとする。
(支援調整会議)
第25条 市長は、前条第1項の支援を専門的知見の活用により効果的かつ円滑に行うとともに、生活困窮者自立支援法第9条第2項に規定する情報の交換及び検討を行うため、同条第1項に規定する支援会議を設置する。
2 前項の支援会議は、野洲市支援調整会議と称する。
(平30条例44・一部改正)
(市民生活総合支援推進委員会)
第26条 市長は、消費生活上特に配慮が必要であると認められる市民、生活困窮者等及びこれらの者と同様の状況に至るおそれのある市民(以下「要配慮市民等」という。)の支援を総合的に行うため、市の関係する全ての組織に属する職員により構成される野洲市市民生活総合支援推進委員会を設置する。
(見守りネットワーク)
第27条 市、事業者及び自治組織は、要配慮市民等が安心して暮らすことができるよう見守るため、相互に連携を図りながら協力する組織(以下この条において「見守りネットワーク」という。)を構築するよう努めなければならない。
2 市は、見守りネットワークを構築するときは、協力する事業者及び自治組織(当該見守りネットワークに協力する特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人その他の団体があるときは、当該団体を含む。)と協定を締結するものとする。
第4章 雑則
(委任)
第28条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
付則
(施行期日)
1 この条例は、平成28年10月1日から施行する。
付則(平成29年条例第3号)
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 市長は、この条例の施行の日前にこの条例による改正前の野洲市くらし支えあい条例第10条第1項の規定による申請を行った者に対し、この条例による改正後の野洲市くらし支えあい条例(以下「改正後の条例」という。)第10条第1項第3号及び第4号に掲げる事項を報告するよう求めるものとする。
3 市長は、前項の規定による報告があったときは、その内容(当該報告がない場合にあっては、同項の事項を職権により調査し、その結果)を改正後の条例第11条第1項に規定する登録簿に記載するものとする。
付則(平成30年条例第44号)
この条例は、公布の日から施行する。