○野洲市環境基本条例

平成16年10月1日

条例第136号

紺碧の水を湛えた母なる琵琶湖と淡海の秀峰、三上山に、野洲川や日野川流域の水と緑に恵まれた平野がひろがり、その恵みを受け古代から人々が連綿として営みを続けてきたこの野洲市は、恵まれた自然環境や歴史、かおり高い文化を生かしつつ、活力のある市へと発展をとげてきた。

このような背景をもつ野洲市も、人々の社会活動や生活による影響で、恵まれた環境に歪みが出てきている。ものにあふれた便利な生活を追い求めてきたことは、一方では身近にあった豊かな自然や文化、良好な環境を変えてきただけでなく、このことが地球規模での環境の変化につながっていることを認識しなければならない。

わたしたちは今、身近な環境の問題や自然と人間の共生について英知を集めて考え、行動し、受け継いできた豊かな自然や良好な環境を次の世代に引き継がなければならない。また、地球規模での環境の変化にも歯止めをかけていかなければならない。

わたしたちは、このことを自覚し、具体的な行動に移し、将来にわたり豊かな自然環境と良好な環境に恵まれた野洲市を創り上げていくことを目標とし、その基本的な方向を示すためにここに条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、野洲市の豊かな自然環境及び良好な環境の保全について基本理念を定めるとともに、市、市民及び事業者の責務を明らかにし、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境の保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 豊かな自然環境及び良好な環境の保全は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであることにかんがみ、人類の存続の基盤である良好な環境が将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない。

2 豊かな自然環境及び良好な環境の保全は、自然環境が適正に維持され、人の健康が保護されるよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されるように適切に行わなければならない。

3 豊かな自然環境及び良好な環境の保全は、生物の多様性の確保が図られるとともに、多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されるように適切に行わなければならない。

4 豊かな自然環境及び良好な環境の保全は、地球環境の保全を考え、資源及びエネルギーの消費が抑制されるとともに、これらが循環的に利用が図られること等で環境への負荷の少ない社会が構築されるよう適切に行わなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念にのっとり、自ら率先し豊かな自然環境及び良好な環境の保全に取り組むとともに、市民及び事業者の取り組みに対して支援するように努めなければならない。

2 市は、豊かな自然環境及び良好な環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、実施しなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、自らの意識の変革及びその日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。

2 市民は、豊かな自然環境及び良好な環境の保全に積極的に取り組み、市が実施する施策に参画し、協力しなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、自らの社会的責任を認識し、その事業活動に伴う環境の保全上の支障を防止し、その事業活動に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。

2 事業者は、市及び市民が実施する豊かな自然環境及び良好な環境の保全に関する活動に積極的に参画し、協力しなければならない。

(基本的施策)

第7条 市は、基本理念にのっとり、豊かな自然環境及び良好な環境の保全のため、次に掲げる施策を実施するよう努めなければならない。

(1) 自然環境の調査並びに生態系に配慮した自然環境の保全及び創出

(2) 公害の防止及び生活環境の保全

(3) 廃棄物の発生の抑制、減量及び適正処理並びに資源としての循環的な活用

(4) 良好な景観の保全並びに歴史的及び文化的遺産の保全及び活用

(5) 前各号に掲げるもののほか、豊かな自然環境及び良好な環境の保全のため必要な施策

(環境基本計画)

第8条 市長は、豊かな自然環境及び良好な環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための計画(以下「環境基本計画」という。)を策定しなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 豊かな自然環境及び良好な環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱

(2) 前号に定めるもののほか、豊かな自然環境及び良好な環境の保全に必要な施策を総合的かつ計画的に推進する事項

3 市長は、環境基本計画を策定するに当たっては、市民の意見を反映することができるよう必要な措置を講じるとともに、野洲市環境審議会の意見を聴かなければならない。

4 市長は、環境基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(環境上の基準)

第9条 市長は、良好な環境を確保するための望ましい環境上の基準を定め、良好な環境の保全に関する施策を総合的かつ有効適切に講ずることにより、その基準が確保されるよう努めなければならない。

2 前項の環境上の基準は、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。

(環境に配慮すべき指針の策定等)

第10条 市長は、自らが実施する施策及び市民、事業者等が環境に配慮すべき指針を策定する等必要な措置を講ずるものとする。

2 市民又は事業者等は、その日常生活又は事業活動等を前項の環境に配慮すべき指針に適合させるよう市に協力しなければならない。

(環境学習の推進等)

第11条 市は、市民及び事業者(以下「市民等」という。)が豊かな自然環境及び良好な環境の保全について理解及び認識を深めるために環境学習を推進するとともに、普及啓発事業の実施、人材育成等必要な措置を講じなければならない。

(環境活動への指導等)

第12条 市は、市民等が豊かな自然環境及び良好な環境の保全に関する活動が促進されるよう指導、助言、助成その他必要な措置を講じなければならない。

(環境情報の提供等)

第13条 市は、市民等がそれぞれの責務に応じて行動するために必要な情報を的確に提供しなければならない。

(調査研究体制の整備等)

第14条 市は、豊かな自然環境及び良好な環境の保全を図るため、環境の状況の把握に関する調査、環境保全に関する情報の収集、調査研究体制の整備及び技術者の育成等に努めるものとする。

(環境審議会)

第15条 市長の諮問等に応じ野洲市の環境保全に関しての基本的事項の調査審議は、野洲市環境審議会(以下「審議会」という。)において行うものとする。

2 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定める。

(その他)

第16条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、平成16年10月1日から施行する。

野洲市環境基本条例

平成16年10月1日 条例第136号

(平成16年10月1日施行)