○野洲市男女共同参画推進条例
平成16年10月1日
条例第122号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第9条)
第2章 基本的施策(第10条―第23条)
第3章 野洲市男女共同参画審議会(第24条・第25条)
第4章 雑則(第26条)
付則
すべての人は平等であり、男女の性別にかかわらず、一人ひとりが大切な存在であり、個人として互いに尊重され、自分らしく生きることを認め合わなければならない。
しかし、性別による役割を固定的にとらえる意識やこれに基づく社会慣行は依然として根強く、男女の生き方の選択を妨げる要因が今もなお存在し、取り組むべき多くの課題が残されている。
また、少子高齢化の進展や経済の成熟化、国際化など私たちを取り巻く社会環境に大きな変化が生じている。
こうした現状において、野洲市がまちづくりの理念とする「人権と環境を土台に、生きる意味が実感できる社会」を築くためには、一人ひとりの個性と能力が生かされ、あらゆる分野において男女が平等に参画することができ、責任も豊かさも分かち合える社会の実現は緊急かつ重要な課題である。
私たちは、人権の尊重と男女平等の下、女性差別撤廃条約を大きな契機とし国際的潮流の中で制定された男女共同参画社会基本法にのっとり、市、市民及び事業者が協働して、人として豊かに生きることができる男女共同参画社会の早期実現を目指すことを決意し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進について、基本理念を定め、市、市民、事業者及び教育に携わる者の責務を明らかにするとともに、市の男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、これを総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会を実現することを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべきことをいう。
(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(3) 事業者 営利、非営利等の別にかかわらず、市内において事業又は社会活動を行うすべての個人、法人及びその他の団体をいう。
(4) セクシュアル・ハラスメント 相手の意に反した性的な言動により、相手の尊厳を傷つけ、又は不利益を与える行為をいう。
(5) ドメスティック・バイオレンス 配偶者などの親密な関係にある男女間における身体的又は精神的な苦痛を与える暴力その他心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画は、次に掲げる基本理念に基づき推進されなければならない。
(1) 男女の個人としてその尊厳が重んじられ、直接的又は間接的であるかを問わず性別を理由とする差別的取扱いを受けることなく、一人ひとりがその個性と能力を発揮する機会が確保され、男女の人権が尊重されること。
(2) 社会の制度又は慣行が性別による固定的な役割分担などによって、男女の社会における活動の自由な選択に対して阻害したり、差別的影響を及ぼすことのないよう配慮されること。
(3) 男女が共に社会の対等な構成員として、市における政策又は事業者における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。
(4) 家族を構成するすべての人が、相互の協力及び社会の支援の下に、子育て、家族の介護その他の家庭生活における活動についてその役割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動を両立できること。
(5) 男女が互いの性を理解し合い、妊娠、出産その他性と生殖に関して、自己の決定が尊重され、かつ、生涯を通じて健康な生活を営む権利が確保されること。
(6) 男女共同参画の推進は国際社会における取組と密接に関係していることを理解し、国際協調の下に行われること。
(市の責務)
第4条 市は、男女共同参画の推進を重要施策として位置付け、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、その推進に関する施策(積極的改善措置を含む。)を総合的に策定し、実施しなければならない。
2 市は、男女共同参画の推進に当たり、市民、事業者、国又は県その他の地方公共団体と連携を図り、協力しなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、男女共同参画について理解を深め、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる分野において、自ら進んで男女共同参画の推進に努めなければならない。
2 市民は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、男女共同参画について理解を深め、その事業活動において、男女が対等に参画する機会の確保に努めるとともに、家庭生活における活動及び職業生活などの活動が両立できる職場環境の整備に積極的に取り組むよう努めなければならない。
2 事業者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(教育に携わる者の責務)
第7条 学校教育その他のあらゆる教育に携わる者(以下「教育に携わる者」という。)は、男女共同参画社会の形成に果たす教育の重要性を深く理解し、個々の教育本来の目的を実現する過程において、男女共同参画の理念に配慮した教育を行うよう努めなければならない。
2 次代を担う子どもたちの教育に関し、家庭及び地域から、男女が共に積極的に参画するよう努めなければならない。
(性別による権利侵害の禁止)
第8条 何人も、あらゆる場において、性別による差別的取扱い、セクシュアル・ハラスメント及びドメスティック・バイオレンスを行ってはならない。
(公衆に表示する情報に関する留意)
第9条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担及び暴力的行為を助長し、人権を侵害する性的な表現を行わないよう努めなければならない。
第2章 基本的施策
(男女共同参画計画)
第10条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策の基本となる計画(以下「男女共同参画計画」という。)を策定しなければならない。
2 市長は、男女共同参画計画を策定するに当たっては、市民、事業者及び教育に携わる者の意見を反映することができるよう適切な措置を講ずるものとする。
3 市長は、男女共同参画計画を策定するに当たっては、第24条第1項に規定する野洲市男女共同参画審議会に諮問しなければならない。
4 市長は、男女共同参画計画を策定したときは、これを公表しなければならない。
5 前3項の規定は、男女共同参画計画の変更について準用する。
(実施状況の報告)
第11条 市長は、毎年、男女共同参画計画に基づいた施策の実施状況について報告書を作成し、これを公表しなければならない。
(財政上の措置)
第12条 市は、男女共同参画の推進のため必要な財政上の措置を講ずるよう努めなければならない。
(施策の策定等に当たっての配慮)
第13条 市長は、市が講ずるあらゆる施策の策定及び実施に当たっては、男女共同参画社会の実現に向けた配慮をしなければならない。
(推進体制の整備)
第14条 市は、男女共同参画計画に基づく施策を実施するため、必要な体制の整備に努めなければならない。
(市長及び市の執行機関の積極的改善措置)
第15条 市長その他の市の執行機関は、その設置する附属機関などの委員を任命し、又は委嘱する場合には、男女いずれか一方の委員の数が委員の総数の10分の4未満とならないよう努めなければならない。
(団体等への働きかけ)
第16条 市長は、市の入札に参加する資格を有する者及び市から補助金の交付を受ける団体等に対し、その事業活動等における男女共同参画の推進状況について、報告を求めることができる。
(広報活動及び啓発)
第17条 市は、市民及び事業者の男女共同参画の推進に関する理解を深めるため、広報活動、その他啓発に必要な措置を講ずるものとする。
(活動支援)
第18条 市は、市民及び事業者の男女共同参画の推進に関する活動について、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。
(家庭における活動と他の活動との両立の推進)
第19条 市は、男女が家庭生活における活動と職業生活における活動その他の活動とを両立することができるよう必要な措置を講ずるものとする。
(情報の収集及び調査研究)
第20条 市は、男女共同参画の推進に関する施策を効果的に実施するため、必要な情報の収集及び調査研究を行うものとする。
(苦情の処理)
第21条 市長は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策に関し、市民又は事業者から苦情の申出があった場合は、当該申出の適切な措置を講ずるものとする。
(相談の処理)
第22条 市長は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害する要因による人権侵害に関し、市民又は事業者から相談の申出があった場合は、関係機関等と連携及び協力を行い、当該申出の適切な措置を講ずるものとする。
(拠点施設の整備)
第23条 市は、男女共同参画を推進する施策を実施し、市民及び事業者による男女共同参画の取組を支援するための総合的な拠点となる施設を整備するものとする。
第3章 野洲市男女共同参画審議会
(男女共同参画審議会)
第24条 市長の附属機関として、野洲市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、この条例の規定により定められた事項を審議するほか、市長の諮問に応じ、男女共同参画の推進に関する事項を調査する。
3 審議会は、男女共同参画の推進に関する事項について調査し、市長に意見を述べることができる。
(審議会の組織等)
第25条 審議会は、市長が委嘱する委員15人以内をもって組織する。この場合において、男女のいずれか一方の委員の数は、委員総数の10分の4未満とならないものとする。
2 委員は、次の各号に掲げる者のうちから、市長が委嘱する。
(1) 学識経験者
(2) 関係機関・団体の代表者
(3) 市民
(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める者
3 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
4 委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第4章 雑則
(その他)
第26条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
付則
(施行期日)
1 この条例は、平成16年10月1日から施行する。